Hair Roomでは、ニューヨークドライカットという特殊なドライカット技法でゲストの髪を切らせて頂いている。
このカットは、髪を束で数本ずつ少しずつカットしていく技法だ。
少しずつカットするといい事あるのか?
髪を少しずつカットしていくと、頭は球体というか、少し凹んでいたり、平べったい部分があったりするのだが、その感じに合わせる事ができる。
だから、ヘアスタイルがその頭の形通りに凹んだり、平べったくなることが少なくなる。
いわば、髪型で骨格矯正といえようか。
また、このカット技法は髪を内側から梳くという事はしない。梳かないカットである。
よく聞く「髪が多いから梳いてください」という要望には他の方法で調整する。
それは、盲点なのかもしれないが髪の毛の毛先と髪の毛の積み重なり方で空気が入ったような軽い質感にできるというものだ。
髪を梳くと、一見髪が減ったように感じるが、単純に内側の髪が短くなっている状態の為、数日経てば髪がまた増えてしまったという現象が起こる。
ショートヘアの人は月に一度カットする事が多いのは、短い髪の毛の方が伸びた事を感じやすい為であるからだ。
同じような事が内側を短く梳くという事でも起こる。
ヘアスタイルの”モチ”が良くないのはその為だ。
髪の毛の様子をじっくりと伺いながら、少しずつ毛束を取ってカットしていく事によって、まるで降りたての雪、パウダースノーのようにふわっとした質感にする事ができる。
もちろん、カットの訓練あっての事にはなるからそんな軽い質感を出すまでに自分は何年かかかっている。しかも、常にそれができるわけでもないから、自分との対話みたいになることもしばしば。
精密機械の部品が一つでも欠落してしまえば、精巧な時計は作れないようなものだ。
ヘアスタイルは
第一にデザイン
第二に再現性
第三に質感
この第二第三の部分は精巧にカットしないと絶対に出てこないものだ。 髪を数本ずつ様子を感じながら切れるからこそ、クオリティの高い仕事ができる。一見同じように見えるものでも精度の高い高級な品物は触感が違う事に人は気づいているハズだ。
時間を追った効率的な仕事も経営上大切ではあると思う。 しかし、Hair Roomでは”ヘアスタイルへのこだわり”を一番大切にしているので多少の非効率さは否めないが、曲げられないところである。
Hair Roomのヘアスタイル第一主義の信念は、髪にも現れる。
例えば、くせ毛はパサつきやすい事が多いがそのほとんどはカット次第でパサついている場合が多い。
髪を梳くことのように無秩序に短い髪の毛が散りばめられてしまえば、チリつき、パサつきは回避できないものになる。
かといって、ほとんどの日本人は髪をぶつ切りにしただけでは魅力的なヘアスタイルにはならない。一方で欧米系外国人は髪が柔らかい為ぶつ切りでもツヤは出るし、魅力も損なわれにくい。
だかはこそ、最後の砦は毛先なのである。毛先に軽さが出れば、根元にも空気が伝わり軽くなるのである。
また、毛先が軽くなると欧米系外国人のように髪がふわりと柔らかくなる。 そして、毛先に艶感が生まれ、くせ毛であってもツヤっぽいような、まとまりの良さそうなカールが生まれる。
髪の毛一本、ミリにこだわるからこそ、本当の美しいヘアスタイルを作る事が可能となっている。
口コミもありがとう。
三浦 和幸