<新しい人生の出発に>
今の私はどうなのだろうか?
周りの幸せな人と比べて私なんかは…
人と比べて
自分を卑下してしまう気持ちはわかる。
自分もどれだけ人と比べて
自分を卑下してきたことか。
今夜のゲストもそんな一人だった。
さぁ
変わろう!
感情が溢れ出てくるニューヨークドライカットという技術
「髪の長さはあまり切りたくない」
「顔も出したくないから
長いままがいい」
そんなロングヘアの女性だった。
もしかしたら自分だったら
「そんなんじゃ変わらねぇ」
とか
「今は切る時期じゃあねぇーな」
なんて言っていたのかもしれない。
というか
今考えただけでも
そう言い出しそうで怖い。
だが今夜は
自分自身を卑下する言葉の多い
目の前のゲストの事が気になった。
口数は凄く多い。
しかし出てくる言葉が
「自分よりあんなに可愛い人が羨ましい」
「あんな可愛い人だから〜なんだ」
と自分を卑下してしまう。
話を伺うと、
長い事今の仕事に取り組んでいるが
成果として結びつかず悩んでいる。
「この先はどうしたら良いのだろう…」
また
少し前までの恋愛を引きずっていて
落ち込んでいるようだ。
「今でも似ている人を見ると
追いかけたくなる」
仕事は自分でなんとかしろ!
新しい恋をするべきだ!
とついつい
スパッと正論っぽい事を
口にしてしまいそうになったが
そこはなんとか我慢する事を
つい最近覚えたらしい。
相手は女性。
話を聞いてほしいんだ。
感情豊かな女性である。
ちっぽけな理屈など
通用するわけが無い。
そんな説教なのかエールなのか
どちらなのか自分でもわからないような
ゲストへの激励は
これから提供する
ヘアスタイルで表現しようと思った。
新しいヘアスタイルになれば
彼女の憂鬱な気持ちも
少しは和らぐかもしれない。
<before>は
毛先に力強さがなくなっており
ペラペラになっていたのを
<after>では芯のある女性に!
と厚みを持たせた。
また、
トップは髪をかきあげる仕草によって
綺麗に毛流が生まれ
彼女の意思を魅せるように
イメージしてカットさせて頂いた。
美容師としての自分自身の意思を
ダイレクトにゲストに落とし込める
カット技術が
ニューヨークドライカットの醍醐味
とも感じている。
ニューヨークドライカットの
講師の言葉をお借りすると
<理論的で感情的なカット>
自分の内から爆発する
ゲストへの思いを表現できるカット技術
がニューヨークドライカットなのだ。
<after>
スタイリングは、
大きめのマジックカーラーを
ランダムに巻いた。
自分の意思に素直に!
新しい事にチャレンジできるように!
臆病から勇気を出せるように!
「今日は来てよかった♡」
その言葉を聞いただけで
自分が何の為に美容師という職業に
就いているのかが
ヒトカケラわかった気がした。