銀座の美容師・三浦はラーメンが大好きである。
特にわかりやすい味に魅力を感じる。
とんこつなら豚骨の旨味を究極に引き出した味。
醤油ラーメンなら、鳥を極限まで活用した風味。 煮干しのみに特化したスープなど。
豚骨+魚介とか、鳥+豚骨、豚骨+野菜スープ など、何種類も主軸となるスープが混合しているようなラーメンも多数存在するが、
そういった複合的な味は旨いのか?旨くないのか? 正直僕にはわからない。
複雑な味を美味しく感じる人もいるのだろうが、僕にはその感性はどうやらなさそうである。
主軸は一つで良い。
主軸がいくつもあると、お互いがケンカして、その主軸本来の力が発揮されないように感じる。
まぁ、旨くも無いし、まずくも無い。そんな感じで答えがハッキリしない。
そのラーメン屋が例えネット上の口コミなどで、高評価を得ていたとしてもである。
僕の味覚は、軸となる味がしっかりとわからないと旨く感じないみたいである。
軸がある
=わかりやすい
=シンプル
=うまい!
人間なら、性格に裏表が無い真っ直ぐに生きる人が好きだ。
歪曲した捻くれた性格の人よりも、物事を素直に真っ直ぐに捉える人が好きだ。
わかりやすい人はとっつきやすい。だから一緒に居たくなる。
Simple is best
ヘアスタイルにも、カット技法にも同じような事が言えると僕は思っている。
美容業界には、様々なカット技法がある。
- 複雑な理論の元、成り立つ技法
- なんとなく、感覚的に切る技法
僕は<ニューヨークドライカット>という技法がカット技法において
simple is bestだと感じる。
元々は、複雑な理論の元、成り立つカット技法を勉強していたのだが、
どうしても腑に落ちない所もあった。
頭は丸いので、複雑な理論を考えていくと、正確なのか正確ではないのからよくわからなくなったものだ。
しかし、今はドライカットというシンプルな理論のカットスタイルを僕は選択した。
自分のイメージと、目の前のカタチを追いかける本当にシンプルな考え方のカット技法なのだが、これがまた難しい…
ドライカットはシンプルであるが故に、気を抜くとダイレクトにヘアスタイルに影響してしまう。
だから、ドライカットは自分の精神力・体力共に物凄く使う。
シンプルなボブだからこそ、非常に気を使う。そして難しい。
ただ、自分が全力でぶつかった仕事は終わってから清々しいものがある。
ドライカット技法はシンプルだからこそ、ごまかせない仕事になるし、ごまかさない仕事をこれからも追い求めていきたいものだ。