厳しそうな
美容師を試すゲスト
美容師の力量を試すゲストがいる。
そんな試し系ゲストの決まり文句
「私をどうしてくれるの?」
で
「私をどうしてくれるの?」
こういうゲストは
楽しく世間話でもして
場を和ませるなんて戦術は
一切通用しない事は明白だ。
話せば話す程
自分がいかにできる美容師アピールを
しようとも百戦錬磨なゲストには
全く通用しない。
いや
そんなアピールをすればするだけ
ボロが出る。
銀座をよく知っている
もしくは
銀座に住んでいる
または
銀座で働いている
そんなゲストは厳しめの人が多いものだ。
一流を知り
一流を堪能する
銀座人。
そんなゲストの外見的特徴は
いかにも銀座にいそうな高級感を
漂わせている訳ではない。
むしろ一見普通だが
何かセンスがあったり
ワンポイント
とてつもないブランド物を
気がつかない程度に装飾している。
さりげない。
雰囲気はもちろん品があるが
何となく抜けている。
銀座に来るから気合いが入っている
訳ではなく
銀座に溶けているから
自然体
なのだ。
僕はそんなゲストにあたったら大変だ。
というか
今夜来た。
普段もぎこちない動きなのに
さらにヨソヨソしてしまう。
まるで自分のサロンなのに
人のサロンのように。
特に最初のカウンセリングは
話で決まってしまうので、
カウンセリングは苦手なのかもしれない。
ゲストはいかに
雰囲気をよく見せているが
肝心な目が笑っていないのはよくわかる。
ようやく
カットに入ると僕自身の世界に
入り込む。
そして
最後のスタイリングが終わって初めて
ゲストの目が笑っている。
ほっ
と一息。
明日も戦いだ。